自筆証書遺言|書き方Q&A①
自筆証書遺言|書き方Q&A
- 自筆能力のない者が作成した遺言書は無効?
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自筆能力とは、遺言者が文字を知り、かつ、これを筆記する能力をいいます。自筆証書遺言を有効に作成するには、遺言当時に自筆能力があることが必要であり、これが欠けている状況で作成された遺言は無効となります。
- 他人の添え手によって書かれた遺言は無効?
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自書が要求された趣旨から、他人の添え手によって書かれた遺言は、原則として無効とされます。この点に関して、最高裁の判例では、病気その他の理由により運筆について他人の添え手による補助を受けてされた自筆証書遺言は「遺言者が証書作成時に自筆能力を有し」「他人の添え手が、単に始筆もしくは改行に当たりもしくは字の間配りや行間を整えるため遺言者の手を用紙の正しい位置に導くにとどまるか、又は遺言者の手の動きが遺言者の望みに任されており、遺言者は添え手をした他人から単に筆記を容易にするための支えを借りただけであり」、かつ「添え手が右のような態様のものにとどまること、すなわち、添え手をした他人の意思が介入した形跡のないことが、筆跡の上で判定できる場合」には「自筆」の要件を満たすものと判断しています。
- 病気等の事情で手を使うことができない人が口や足で遺言書を作成した場合は?
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自筆とは、遺言者が自らの意思で筆記することをいいますが、口や足で作成した場合も自書であると考えられます。
- 英語など外国語で作成された遺言は無効か?
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民法上、遺言を日本語でしなければならないという制限はありませんので、外国語で遺言を作成した場合も有効と考えられます。
- ワープロ、タイプライター等の機械を用いた遺言は?
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自筆証書に添付した相続財産の目録をワープロ等を用いて作成した場合には、その目録の毎葉に自書・押印がある限り、自筆証書遺言は有効です。しかし、それ以外の部分について、ワープロ等を用いた遺言書は自書性を欠いており、無効とされています。
- 遺言書の一部が自書でない場合の遺言の効力は?
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自筆証書に添付した相続財産の目録以外の部分については、遺言書の全文を自書する必要があるので、自書でない自筆証書遺言は無効です。もっとも、自書でない部分が付随的で付加的意味を有するにすぎず、自書部分とそうでない部分との一体性・関連性が明らかにされ、遺言の趣旨が十分に表示されている場合には自書性が保たれていると考える余地があります。この点に関し、遺言の対象や内容を明確にするために図面等を使用することが一切否定されているわけではなく、他人が作成した図面等を用いた場合であっても、図面等の上に自書の添え書きや指示文書等を付記し、あるいは自筆書面との一体性を明らかにする方法を講じるなどしている場合に、なお自書性は認められるとした判例があります。
- スタンプで日付を記載した場合、遺言は有効か?
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日付についても自書性が要求されることから、日付スタンプを用いた遺言は無効と解されています。