契約書「当事者」は正確に書かれていますか?
契約書において、契約書の当事者となる人の名前(名称)は正しく明記されてますでしょうか?契約の効力は、契約当事者に及びます。契約した当事者がその効力に拘束されるのです。逆に契約当事者ではない人には効力は及ばないという事になります。
契約当事者を正確に表示する必要性
契約当事者が正しく表示されていないと、本来契約当事者であるべき者に契約の効力が及ばなくなる可能性があります。紛争予防のためにも、まず、契約当事者が正確に書かれているかチェックしてみましょう。
当事者名の簡略化
当事者名が長い場合、普段より簡略化した名称で活動していて、ついつい簡略化した名称で契約書の当事者名称を表示してしまわないように注意しましょう。例えば、正式名称が「ジャパンアーティスト・クリエイティブマネジメント株式会社」であるのに契約書の当事者名称に「ジャパン・マネジメント株式会社」と表示してしまうと、本来契約する予定の当事者(ジャパンアーティスト・クリエイティブマネジメント株式会社)とは全く異なる名称の別会社(ジャパン・マネジメント株式会社)との間で契約が成立したように読むことができてしまいます。これだと後々の紛争の原因を内包することになりかねません。
屋号で表示している(個人事業主)
個人事業主やフリーランスの方で契約を結ぶときに注意が必要なのが「屋号だけで表示」してしまうパターンです。屋号単体では契約当事者として特定できていない事になってしまいます。屋号は、会社や法人のように第三者が公に確認できるような登記がされていない場合、当事者と特定している事にはなりません(屋号の登記制度自体はあります)
表示する際は「〇〇(屋号)こと〇〇(代表者氏名)」と表示するようにしましょう。
法人か個人かわからない
例えば「株式会社山田太郎」が契約の当事者だった場合を考えてみましょう。実際の契約書には「山田太郎」としか表示されていなかった場合、「株式会社」を省略して表示してしまうと、文面を外形的に見る限り、契約は「個人」である「山田太郎」との間で成立するものと解釈できてしまいます。
このように安易に株式会社を省略してしまうと、契約書を取り交わしたにも関わらず、契約当事者が誰なのか?という根本的な疑問が生じてしまい後々の紛争の原因になってしまう為、注意しましょう。
以上の事から契約書に記載する当事者の名称は「契約の効力が誰に及ぶのか」という点でとても大切になります。後々の紛争を回避するためにも当事者を特定できるよう明確に表示するように気をつけていきましょう。